将棋で囲いを作ったのに、気づくと玉のまわりが薄くなり、あっという間に攻め込まれることがあります。初心者のうちは「囲ったから安全」と考えやすいですが、囲いは一度作れば終わりではありません。相手の攻め、駒の交換、自分の攻め駒の動かし方によって、少しずつ弱点が生まれます。
囲いが崩れる原因を知っておくと、受けるべきタイミングや、守り駒を動かしてよい場面が見えやすくなります。完璧な囲いを覚えるより、どこから壊れやすいかを知る方が、実戦では役に立つことも多いです。
前回の将棋で玉の安全を高める方法では、危険度、逃げ道、相手の持ち駒を見る流れを整理しました。今回はその続きとして、囲いが崩れる典型的な原因と、崩されたあとの立て直し方をまとめます。
囲いは少しずつ崩れる
囲いは、一手で突然なくなることもありますが、多くの場合は小さな変化の積み重ねで弱くなります。守りの金銀が一枚離れる、歩を突かれて玉頭に空間ができる、角や飛車の利きが通るといった変化が重なると、同じ囲いでも安全度が大きく下がります。
初心者が見落としやすいのは、形の名前だけを見て安心してしまうことです。美濃囲いや矢倉の形に見えても、守り駒が取られそうだったり、玉の逃げ道が消えていたりすれば危険です。
囲いを見るときは「完成しているか」よりも、「いま相手がどこから攻められるか」を考えましょう。これは将棋の形勢判断の基本で扱った玉の安全を見る考え方にもつながります。
守り駒を攻めに使いすぎる
囲いが崩れる大きな原因の一つは、守りの金銀を攻めに使いすぎることです。攻めたい気持ちが強いと、玉の近くにいた銀を前へ出し、金も中央へ寄せたくなります。しかし、その駒がいなくなったあとに相手の飛車角の利きが通ると、玉が急に危なくなります。
守り駒を動かしてはいけないわけではありません。大切なのは、動かしたあとに代わりの守りが残るかを確認することです。金銀を一枚前へ出すなら、玉の近くにもう一枚守り駒がいるか、歩で相手の攻めを止められるかを見ます。
攻めと守りの切り替えは将棋の中盤の考え方でも重要です。攻める前に、自分の玉側で一手で起きる王手や、相手の大駒の直通を確認しましょう。
玉頭の歩を無防備にする
囲いは横からの攻めに強い形でも、玉頭を攻められると急に弱くなることがあります。玉の上の歩を突きすぎたり、相手に歩を合わせられたりすると、玉の近くに空間ができて攻め駒が入りやすくなります。
初心者は、玉頭の歩を「ただの歩」と見てしまいがちです。しかし、玉の近くの歩は、相手の銀や桂馬が入ってくる入口をふさぐ大事な駒です。取られるだけでなく、突かされるだけでも囲いの形が変わります。
玉頭を攻められたら、まず相手の狙いが歩の交換だけなのか、銀や桂馬を呼び込む準備なのかを見ましょう。歩で受ける、守り駒を寄せる、玉を逃がすなど、次の攻めまで含めて考えることが大切です。
飛車角の利きを止めていない
囲いが堅そうに見えても、飛車や角の利きが玉まで通っていると危険です。特に角の筋は斜めに長く通るため、歩や銀が動いた瞬間に王手や両取りの筋が生まれることがあります。
相手の飛車角が玉を見ているときは、囲いの枚数だけで判断しないようにしましょう。利きを止めている歩や銀が取られると、囲いが一気に崩れます。大駒の利きを止めている駒は、守り駒と同じくらい大切です。
指す前には、相手の飛車角から自分の玉まで線を引くように見てください。途中にある駒が動いたらどうなるかを確認すると、うっかりした崩れを防ぎやすくなります。
持ち駒を打ち込まれる場所を見ていない
囲いが崩れる原因は盤上の駒だけではありません。相手の持ち駒も、囲いを壊す材料になります。金、銀、桂、歩を玉の近くへ打たれると、盤上では安全に見えた囲いが急に受けにくくなることがあります。
特に終盤に近づくほど、相手の持ち駒の価値は大きくなります。相手が金を持っているなら詰みや寄せが速くなり、桂馬を持っているなら離れた場所から玉頭を狙われることがあります。
自分の囲いを見るときは、空いているマスに相手の持ち駒を打たれたらどうなるかを一つだけ確認しましょう。すべてを読む必要はありません。まずは玉の近く、逃げ道、金銀のすぐ横を見れば十分です。
逃げ道をふさいでしまう
囲いを固めようとして金銀を詰め込みすぎると、玉の逃げ道がなくなることがあります。守り駒が多いのに詰みやすい形は、初心者がよく経験する失敗です。
囲いが崩れる前に、玉が安全に逃げられるマスを一つ残しておく意識を持ちましょう。ただし、そのマスに相手の角、飛車、桂馬の利きがあるなら逃げ道にはなりません。広さと安全さをセットで見る必要があります。
逃げ道の確認は玉の安全を高める方法でも大切なポイントです。金銀で守るだけでなく、攻められたあとに玉が動けるかを見ましょう。
崩れ始めに気づく3つのサイン
囲いが完全に破られてから受けるのは大変です。次のサインが出たら、攻め続ける前に一度守りを見直しましょう。
- 守り駒が一枚取られそう – 金銀が取られると囲いの支えが消えます。
- 玉頭の歩が交換された – 相手の駒を打ち込む空間ができます。
- 相手の大駒の利きが玉へ近づいた – 次の王手や両取りが生まれやすくなります。
この三つのうち一つでも起きたら、囲いは以前と同じ安全度ではありません。攻め合いに進む前に、相手の次の狙いと自玉の逃げ道を確認しましょう。
崩されたときは攻め駒を取るか利きを止める
囲いが崩れ始めたとき、まず考えたいのは相手の攻め駒を減らすことです。近くの銀や桂馬を取れるなら、囲いを直すより分かりやすく危険を減らせます。
攻め駒を取れない場合は、飛車角の利きを止める手を探します。歩を打つ、銀を上がる、金を寄せるなど、相手の大駒が玉へ直通しない形を作るだけでも、次の一手を稼げます。
受けの基本は将棋の受け方でも整理しています。囲いを元の形へ戻すことにこだわらず、相手の一番強い攻めを止めるのが実戦的です。
囲いを組み直すより玉を逃がす場面
崩れた囲いを元に戻そうとして、かえって手遅れになることがあります。すでに相手の攻め駒が玉の近くに集まっているなら、金銀を戻すより玉を広い方へ逃がす方が安全な場合があります。
目安は、相手の攻めが次々に続くかどうかです。金銀を一枚足してもすぐ取られる、歩で止めても別の王手が続く、逃げ道が一つしかないといった局面では、玉を動かす手を候補に入れましょう。
終盤では囲いの形より、詰みや詰めろを防ぐことが優先です。具体的な優先順位は将棋の終盤の考え方も参考になります。
対局後は崩れ始めた一手を探す
負けた将棋を振り返るときは、最後に詰まされた局面だけを見るのではなく、囲いが崩れ始めた一手を探しましょう。守り駒を攻めに使った手、玉頭の歩を取られた手、角筋を開けてしまった手が候補になります。
「この手で囲いが弱くなった」と一つ見つけられれば十分です。次の対局で同じ形が出たときに、攻める前に立ち止まりやすくなります。
復習を続けるなら、対局後に三行だけメモする方法がおすすめです。崩れ始めた手、相手の攻めの狙い、自分が次に試したい受けを書いておくと、将棋勉強法の中にも組み込みやすくなります。
よくある質問
囲いが崩れたらすぐ負けですか?
すぐ負けとは限りません。攻め駒を取る、飛車角の利きを止める、玉を広い方へ逃がすなど、危険を小さくする手があります。崩れた形を元に戻すより、相手の次の攻めを止めることを優先しましょう。
守り駒を攻めに使ってよい判断はありますか?
守り駒を動かしたあとも、玉の近くに別の金銀が残り、相手の飛車角の利きが直通せず、逃げ道も残るなら使えることがあります。三つのうち二つ以上が危ないなら慎重に考えましょう。
囲いを組み直す練習は必要ですか?
必要です。ただし、元の形を暗記して戻すより、どの駒を足せば相手の利きが止まるか、どのマスを守れば玉が逃げられるかを考える練習の方が実戦で使いやすいです。
囲いが崩れやすい人は何から直せばよいですか?
まずは守り駒を攻めに使う前に一度止まりましょう。次に、玉頭の歩と相手の飛車角の利きを確認します。この二つだけでも、急に囲いが薄くなる失敗を減らしやすくなります。
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- 将棋で玉頭を攻められたときの受け方 – 玉頭の歩交換、銀桂の打ち込み、玉を逃がす判断を確認できます。
- 将棋で玉の安全を高める方法 – 囲いの安全度、逃げ道、相手の持ち駒を確認できます。
- 将棋の囲い方 – 玉を囲う基本と金銀を配置する順番を確認できます。
- 将棋で守りが弱い原因 – 守りが崩れやすくなる見落としを整理できます。
- 将棋の受け方 – 攻められたときの受け方を確認できます。
- 将棋の形勢判断の基本 – 駒得と玉の安全を比べる考え方を学べます。
まとめ
将棋で囲いが崩れる原因は、守り駒を攻めに使いすぎること、玉頭の歩を無防備にすること、飛車角の利きを止めていないこと、相手の持ち駒を見ていないこと、逃げ道をふさいでしまうことにあります。囲いの名前や完成形だけで安心せず、いま相手がどこから攻められるかを見ましょう。
崩れ始めたら、元の形に戻すより、相手の攻め駒を取る、利きを止める、玉を逃がすという実戦的な手を比べるのが大切です。対局後は、囲いが崩れ始めた一手を一つ探すだけでも、次の対局で同じ失敗に気づきやすくなります。

