将棋の序盤で形を作れるようになると、次に迷いやすいのが中盤です。駒がぶつかり始めたあと、攻めるべきなのか、受けるべきなのか、いったん駒を整えるべきなのかが分からず、気づいたら不利になっていることがあります。
中盤は、覚えた手順をそのまま指す場面ではなく、自分で判断する場面が増えるところです。だからこそ、難しい読みを急に増やすより、攻め、受け、形勢判断の基本を分けて考えると整理しやすくなります。この記事では、将棋初心者が中盤で迷わないための考え方と練習手順をまとめます。
中盤は「駒がぶつかった後」の考え方
序盤では、玉を囲う、攻める筋を作る、戦法の形を作るといった目的が比較的はっきりしています。中盤になると、歩や銀、角、飛車が相手の駒とぶつかり、駒の取り合いが始まります。
この段階では、ただ駒を取れるから取る、ただ攻められたから受ける、という判断だけでは足りません。駒を取った後に自分の玉が危なくならないか、攻めが続くか、相手にもっと大きな狙いがないかを見る必要があります。
序盤の考え方がまだあいまいな場合は、先に将棋の序盤の勉強法を確認しておくと、中盤で何を引き継ぐべきかが分かりやすくなります。
中盤で最初に見るべき3つのポイント
中盤で手が止まったときは、盤面全体を一気に読もうとするより、次の3つを順番に確認すると考えやすくなります。
- 自分の攻めは続くか – 駒を渡しても、次の攻めがあるかを見る。
- 自分の玉は危なくないか – 攻めた後に反撃を受けて一気に悪くならないかを見る。
- 相手の一番大きな狙いは何か – 受けるべき攻めと、無視してよい攻めを分ける。
この3つを毎回完璧に読む必要はありません。まずは「攻めだけ見ていないか」「受けだけで手が縮こまっていないか」を確認するだけでも、指し手の質が変わります。
攻めるときは「次の一手」だけで止まらない
初心者が中盤でよく迷うのは、駒を取れる手を見つけたときです。目の前の駒を取る手は分かりやすいですが、その後に攻めが続かなければ、相手に手番を渡して反撃されることがあります。
攻める前には、少なくとも次の一手を考えます。たとえば銀を前に出すなら、その銀が次にどこを狙うのか。角を交換するなら、持ち駒の角をどこに打てるのか。歩を突き捨てるなら、その後に飛車や銀が働くのかを見ます。
定跡から中盤へ進むときも同じです。定跡を覚える目的は、序盤を抜けた後に攻めの形を作ることです。定跡の覚え方は将棋の定跡の勉強法で整理しています。
受けるときは「全部受ける」必要はない
相手に攻められると、すべてを受けなければいけないように感じることがあります。しかし、将棋では相手の狙いを全部消そうとすると、自分の攻めが遅れたり、駒が守りに偏りすぎたりします。
受ける前には、相手の狙いが本当に厳しいかを考えます。次に王手がかかるのか、大きな駒を取られるのか、囲いが崩れるのか。それほど大きな被害がないなら、先に自分の攻めを進めた方がよい場合もあります。
相手の狙いを読む練習は、将棋で相手の狙いを読むには?でも詳しくまとめています。中盤で受けが苦手な人は、攻めの手だけでなく相手の次の狙いを一つ見る習慣をつけるとよいでしょう。
形勢判断は4つだけでよい
中盤で形勢を正確に判断するのは難しいです。初心者のうちは、細かい評価値を考えるより、次の4つをざっくり見るだけで十分です。
- 駒得しているか – 取った駒と取られた駒の差を見る。
- 玉の安全度はどうか – 自分の玉と相手の玉の危なさを比べる。
- 駒が働いているか – 飛車、角、銀、桂が攻めや守りに参加しているかを見る。
- 手番を握っているか – 次に厳しい手を指せるのはどちらかを見る。
駒得していても玉が危なければ不利なことがあります。逆に少し駒損していても、相手玉に迫っていて手番を握っていれば戦えることもあります。ひとつの要素だけで決めず、複数の要素を合わせて見るのが中盤の基本です。
候補手は3つまでに絞る
中盤では指したい手が多く見えるため、考えすぎて時間を使いすぎることがあります。初心者のうちは、候補手を3つまでに絞ると整理しやすくなります。
候補手は、攻める手、受ける手、駒を整える手の3種類から一つずつ出すと考えやすいです。たとえば「銀を出て攻める」「金を寄って受ける」「飛車を回って働かせる」のように、性質の違う手を比べます。
候補手を出したら、それぞれ相手の返しを一手だけ見ます。深く読めなくても、「この手はすぐ駒を取られる」「この手は相手の攻めを止められる」「この手は次に厳しい狙いがある」と分けるだけで、指し手を選びやすくなります。
中盤でよくある失敗
中盤の失敗は、読みの力だけが原因とは限りません。考える順番が決まっていないために、同じ失敗を繰り返していることも多いです。
- 駒を取れる手だけを見て、反撃を見落とす
- 相手の攻めを全部受けようとして、自分の攻めがなくなる
- 飛車や角だけで攻めて、銀や桂が参加していない
- 玉が薄いまま攻め合いに入る
- 形勢が悪いと思い込み、粘る手を探さない
これらは、対局後に振り返ると見つけやすい失敗です。すべてを直そうとせず、まずは自分に多いものを一つだけ選ぶと改善しやすくなります。
棋譜並べで中盤の流れを覚える
中盤の考え方は、実戦だけでなく棋譜並べでも身につきます。強い人の棋譜を見ると、どのタイミングで攻め始めるのか、どこで受けに回るのか、駒をためる局面がどこなのかが見えてきます。
ただし、最初から一局すべてを深く理解しようとする必要はありません。中盤の勉強として棋譜を見るなら、「駒がぶつかった場面」「攻めが始まった場面」「受けに回った場面」だけを見ても十分です。
棋譜並べのやり方は棋譜並べのやり方と効果で、棋譜を学ぶ本の選び方は棋譜並べにおすすめの本で整理しています。
詰将棋は中盤にも役立つ
詰将棋は終盤の練習という印象がありますが、中盤にも役立ちます。理由は、駒を渡したときに相手玉へ迫れるか、自分の玉が危なくなるかを考える力につながるからです。
中盤で攻め合いを選ぶときは、終盤の距離感が少し必要になります。相手玉に迫る手が見えないまま駒を渡すと、攻めが切れてしまいます。短い詰将棋を続けていると、攻めが続く形や王手の筋に気づきやすくなります。
詰将棋本を選ぶときは、難しいものより短手数で解説が分かりやすいものから始めると続きます。選び方は詰将棋本おすすめは?を参考にしてください。
1週間の中盤練習メニュー
中盤の練習は、毎日長く考えるより、対局後に短く振り返る方が続けやすいです。
- 1日目 – 対局後、最初に駒がぶつかった局面を一つ残す。
- 2日目 – その局面で攻める手、受ける手、整える手を一つずつ考える。
- 3日目 – 相手の一番大きな狙いを一つだけ書く。
- 4日目 – 棋譜並べで同じような中盤の局面を探す。
- 5日目 – 3手詰めか5手詰めを数問解く。
- 6日目 – 実戦で候補手を3つまでに絞って指す。
- 7日目 – 一番多かった失敗を一つだけ次週の課題にする。
このくらい小さなメニューでも、中盤で何を見ればよいかが少しずつ定まってきます。大切なのは、毎局の反省を広げすぎないことです。
よくある質問
中盤で攻めるか受けるか迷ったらどうする?
まず相手の次の狙いがどれくらい厳しいかを見ます。王手や大きな駒損につながるなら受けを優先し、すぐに大きな被害がないなら自分の攻めが続くかを確認します。
中盤の読みは何手先まで必要?
初心者のうちは、まず自分の手と相手の返しの1往復で十分です。慣れてきたら、攻めが続く場面だけ少し先まで読むようにしましょう。
AIの評価値は見た方がよい?
対局直後に評価値だけを見るより、まず自分で候補手を考えてから確認する方が学びやすいです。評価値は答え合わせとして使い、次に直せるポイントを一つ見つける目的で使いましょう。
中盤が苦手なままでも序盤を勉強してよい?
問題ありません。序盤で形を作れるようになると、中盤で考える材料が増えます。序盤、定跡、中盤、終盤を少しずつつなげていくのが上達しやすい進め方です。
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まとめ
将棋の中盤では、攻めるか受けるかを感覚だけで決めるのではなく、自分の攻めが続くか、自分の玉が危なくないか、相手の一番大きな狙いは何かを順番に確認することが大切です。
形勢判断は、駒得、玉の安全、駒の働き、手番の4つをざっくり見るだけでも十分です。候補手を3つまでに絞り、対局後に駒がぶつかった局面を一つだけ振り返る習慣をつけると、中盤の迷いは少しずつ減っていきます。
