将棋の受け方は?初心者が攻められても崩れない守りの基本

将棋で攻められると、どの駒を守ればよいのか、玉を逃げるべきなのか、反撃してよいのか迷いやすいものです。特に初心者のうちは、相手の攻めが始まった瞬間にあわててしまい、必要以上に駒を渡したり、玉の逃げ道をふさいだりして形勢を悪くしてしまうことがあります。

受けは、ただ我慢するための手ではありません。相手の一番厳しい狙いを消し、自分の玉を安全にし、次に攻め返すための時間を作る手です。前回の将棋で攻めが切れる理由では攻めを続ける考え方を整理しましたが、攻めを成功させるためにも受けの基本は欠かせません。

この記事では、将棋初心者がまず覚えたい受け方を、局面の見方、具体的な選択肢、練習方法に分けてまとめます。形勢全体の判断に不安がある場合は、将棋の形勢判断の基本もあわせて読むと理解しやすくなります。

受けは「相手の狙いを消す手」

将棋の受けというと、守る、逃げる、我慢するという印象を持つかもしれません。しかし実戦で大切なのは、相手が次に何を狙っているかを見つけ、その狙いを消すことです。

たとえば、相手が次に金を取ってくるのか、玉に王手をかけてくるのか、飛車を成り込もうとしているのかで、必要な受けは変わります。何となく自陣に駒を足しても、一番厳しい狙いが残っていれば受けになっていません。

まずは「相手が次に指したい手は何か」を一つ言葉にしてから受ける習慣をつけましょう。これだけで、無駄な守り駒を置く回数が減り、受けたあとに反撃する余裕も出てきます。

初心者が受けで崩れやすい理由

初心者が受けで崩れやすい一番の理由は、相手の攻めをすべて同じ重さで見てしまうことです。歩を取られる手、金を取られる手、詰めろになる手、飛車を成られる手は、それぞれ危険度が違います。

本当に急いで受けるべきなのは、自玉が詰みそうな手、詰めろがかかる手、大きな駒損につながる手、相手の攻め駒が急に増える手です。逆に、少し駒を取られるだけで自玉が安全なら、受けずに攻め返した方がよい場面もあります。

もう一つの失敗は、守る場所を間違えることです。取られそうな駒だけを守っても、玉の逃げ道がなくなっていれば危険です。受ける前には、駒の損得だけでなく、玉の安全と相手の次の狙いを一緒に見ることが大切です。

最初に見るのは王手と詰めろ

受けを考えるときは、まず王手があるかを確認します。王手は必ず対応しなければならないので、逃げる、取る、合駒する、玉を守る駒で防ぐといった候補を落ち着いて比べます。

次に見るのは詰めろです。詰めろは、次にこちらの玉が詰む状態を作られる手です。王手ではないので見落としやすいですが、受けずに攻めると一手負けになることがあります。終盤では特に、王手よりも詰めろの方が重要になる場面があります。

詰めろや寄せの考え方は将棋の終盤の考え方でも整理しています。受けが苦手な人は、終盤だけでなく中盤のうちから「次に自玉へどんな厳しい手があるか」を確認する癖をつけるとよいでしょう。

受け方の基本は4つある

受けの手は細かく見るとたくさんありますが、初心者のうちは大きく4つに分けると考えやすくなります。

  1. 攻め駒を取る – 相手の攻めの中心になっている駒を取って、攻めを弱くします。
  2. 玉を逃げる – 王手や詰めろを避けながら、次に安全な場所へ移動します。
  3. 間に駒を打つ・置く – 飛車、角、香車などの利きを止めたり、玉の周りを補強したりします。
  4. 反撃して受ける – 相手に受けを強要し、こちらの玉への攻めを遅らせます。

どれか一つだけを覚えるのではなく、局面ごとに「取れるか」「逃げられるか」「止められるか」「攻め返せるか」と順番に確認すると、候補手を見つけやすくなります。

攻め駒を取る受け

一番わかりやすい受けは、相手の攻め駒を取ることです。相手の飛車、角、桂馬、銀などが玉の近くで働いているなら、その駒を取るだけで攻めが止まることがあります。

ただし、取れる駒を何でも取ればよいわけではありません。取ったあとに自玉が詰む、もっと大きな駒を取られる、相手に新しい攻め駒を渡してしまうなら危険です。取る前には「その駒を取ったあと、相手の次の一手は何か」を一度確認しましょう。

攻め駒を取る受けは、相手の攻めを細くする考え方です。攻め駒が減れば、相手は一気に寄せにくくなります。前回の攻めが切れる理由を逆から見ると、受け側が何を目指すべきかも見えてきます。

玉を逃げる受け

玉を逃げる手は、単に怖いから逃げる手ではありません。相手の攻め駒から遠ざかり、次に詰めろがかかりにくい場所へ移るための大切な受けです。

初心者は、玉を動かすと弱気に見えると感じることがあります。しかし、玉が安全な場所へ移動できれば、その後に攻め返す余裕が生まれます。逆に、玉を動かさずに守り駒だけを足しても、逃げ道がふさがって危険になることがあります。

玉を逃げるときは、逃げた先が相手の飛車や角の利きに入っていないか、次に銀や桂で狙われないかを確認します。逃げ道を作る歩の突き捨てや、玉の周りの金銀の位置も大切です。

合駒や打ち込みで止める受け

飛車、角、香車のように遠くまで利く駒で攻められているときは、間に駒を打つ受けがよく出ます。これを合駒と呼びます。合駒は、王手を止めるだけでなく、相手の利きを遮って攻めを遅らせる役目があります。

合駒をするときは、どの駒を使うかが重要です。金や銀を使えば堅く受けられることがありますが、手持ちの大切な駒を使いすぎると反撃に使う駒が足りなくなります。歩で止まるなら歩、金銀が必要なら金銀というように、できるだけ無理のない駒を選びましょう。

自陣に金銀を打って守る手もあります。ただし、守り駒を置く場所が玉から遠いと効果が薄くなります。玉の近く、相手の攻め駒の通り道、次に取られそうな急所を意識して受けるとよいでしょう。

反撃して受ける考え方

受けは守る手だけではありません。相手にもっと厳しい手を見せて、相手を受けに回らせることも受けの一つです。これを反撃して受ける、と考えると実戦で選択肢が広がります。

たとえば、相手の攻めが少し遅いなら、こちらが王手をかける、相手の大駒を狙う、詰めろをかけることで、相手は自分の攻めを続けにくくなります。受け一方になるより、形勢を戻しやすいこともあります。

ただし、反撃は自玉が本当に安全なときに使う手です。相手に詰めろがあるのに気づかず攻め返すと、一手負けになります。反撃する前には「こちらの玉は次に詰まないか」「相手の攻めを一手遅らせられるか」を確認しましょう。

受ける前のチェックリスト

実戦中に全部を深く読むのは大変なので、まずは短いチェックリストを使うのがおすすめです。

  1. 王手はかかっているか – 王手なら必ず対応します。
  2. 次に詰めろがあるか – 終盤では最優先で確認します。
  3. 相手の攻め駒は何枚あるか – 玉の近くで働く駒を数えます。
  4. 攻め駒を取れるか – 取ったあとも安全かを見ます。
  5. 玉の逃げ道はあるか – 逃げ道をふさいでいないか確認します。
  6. 反撃して受けられるか – 自玉が安全なら候補に入れます。

この順番で見るだけでも、あわてて受ける失敗が減ります。特に「王手ではないから大丈夫」と決めつけず、次の詰めろや大きな駒損を確認することが大切です。

受けが苦手な人の練習方法

受けを上達させるには、負けた将棋の終盤だけを見直すより、相手の攻めが始まった一手前に戻るのが効果的です。どの手で危険になったのか、どの攻め駒を消せばよかったのかを確認します。

対局後には、次の3つだけをメモすると続けやすくなります。

  1. 相手の一番厳しい狙い – 王手、詰めろ、駒得、成り込みのどれだったか。
  2. 自分が選んだ受け – 取る、逃げる、止める、反撃するのどれだったか。
  3. 別の受け候補 – もう一つ候補があったか。

局面の振り返り方は将棋の中盤の考え方将棋勉強法にもつながります。長い反省より、毎回一つだけ受けの見落としを減らす方が実戦で伸びやすくなります。

1週間の受け方練習メニュー

受けは、知識だけでなく反復で身につきます。次のように短く練習すると、対局中に思い出しやすくなります。

  1. 1日目 – 負けた将棋を1局選び、相手の攻めが始まった局面を探す。
  2. 2日目 – その局面で相手の次の狙いを一つ書き出す。
  3. 3日目 – 攻め駒を取る受けがなかったか確認する。
  4. 4日目 – 玉を逃げる手や逃げ道を作る手を探す。
  5. 5日目 – 合駒や金銀の打ち込みで止める手を探す。
  6. 6日目 – 反撃して受ける手が成立したか考える。
  7. 7日目 – 次の対局で、受ける前にチェックリストを一度だけ使う。

終盤の受けを強くしたい場合は、短い詰将棋も役立ちます。詰む形を知ると、詰まない形や逃げ道も見つけやすくなります。基礎練習としては詰将棋で鍛える終盤力も参考になります。

よくある質問

受けばかりしていると負けませんか?

受けるだけでは勝ちにくいですが、必要な受けを入れずに攻めると一手負けになりやすくなります。大切なのは、受けたあとに攻め返せる形を残すことです。相手の一番厳しい狙いを消してから反撃する意識を持ちましょう。

駒を打って守るのはもったいないですか?

手持ちの金銀を使うのは重い手になることがありますが、自玉が危ないなら必要な投資です。ただし、歩で止まる攻めに金を使う、玉から遠い場所に銀を打つなど、効果の薄い受けは避けたいところです。

どの受けが正解か分からないときは?

まずは相手の狙いを一つに絞り、その狙いを消せる手を選びます。完全な正解を探すより、王手や詰めろを見落とさないことが先です。候補が複数あるときは、受けたあとに自分の攻めが残る手を優先すると実戦的です。

攻め返すタイミングはどう判断しますか?

自玉にすぐ詰みや詰めろがなく、相手の玉へ王手や詰めろ、重要な駒取りがあるなら攻め返す候補になります。迷ったときは、相手の攻め駒を一枚減らしてから反撃する方が安全です。

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まとめ

将棋の受け方で大切なのは、ただ守り駒を増やすことではなく、相手の一番厳しい狙いを消すことです。王手、詰めろ、攻め駒の数、玉の逃げ道を順番に確認すると、受けるべき手が見つけやすくなります。

受けには、攻め駒を取る、玉を逃げる、合駒や打ち込みで止める、反撃して受けるという選択肢があります。対局後は、相手の狙い、自分が選んだ受け、別の受け候補を短く振り返りましょう。受けの見落としが一つずつ減ると、攻められても崩れにくい将棋になります。

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