将棋で攻めているつもりなのに、途中で手がなくなってしまうことがあります。駒を前に出したのに相手に受け切られたり、王手を続けたあとに攻め駒が足りなくなったりすると、一気に形勢が悪くなります。
攻めが切れる原因は、勢いが足りないからではありません。攻め駒の数、持ち駒、相手玉の逃げ道、自玉の安全、次の狙いがつながっていないと、どれだけ強そうに見える攻めでも途中で止まりやすくなります。
この記事では、将棋初心者が攻めを切らさないために見るべきポイントを整理します。攻める前の局面判断は将棋の形勢判断の基本、攻めの候補手は将棋の手筋の覚え方も参考になります。
攻めが切れるとはどういう状態か
攻めが切れるとは、相手玉に迫る手がなくなり、攻めに使った駒だけが相手に取られてしまう状態です。王手や駒取りを続けていたのに、最後に次の厳しい手が残らないと、相手に反撃の手番を渡してしまいます。
攻めが切れると、単に攻めが失敗するだけではありません。攻めに使った駒を渡しているため、相手の持ち駒が増えます。自玉が薄い場合、その持ち駒で一気に攻め返されることもあります。
大切なのは、攻め始める前に「次の次の狙い」が残るかを見ることです。一手だけ厳しい手ではなく、相手が受けたあとも攻めが続くかを確認しましょう。
原因1 攻め駒の数が足りない
攻めが切れる一番分かりやすい原因は、攻め駒の数が足りないことです。飛車だけ、角だけ、銀だけで相手玉へ迫っても、守り駒に受け止められると続きません。
攻めは、盤上の駒と持ち駒が連携して初めて続きます。飛車が成り込む、銀が前に出る、歩を打って相手の形を崩す、といった複数の駒が参加しているかを見ましょう。
目安として、相手玉の近くに働いている駒が1枚だけなら攻めは細いです。2枚から3枚の攻め駒があり、持ち駒で補強できるなら、攻めが続く可能性が高くなります。
原因2 歩を使えていない
将棋の攻めは、歩を使えるかどうかで大きく変わります。歩がないまま大駒や金銀だけで攻めると、相手に受けられたあとに細かい継ぎ足しができません。
歩は小さい駒ですが、たたきの歩、垂れ歩、継ぎ歩など、攻めをつなぐ働きがあります。相手の金銀を動かす、逃げ道をふさぐ、と金を作るといった狙いを持たせられるからです。
歩の手筋を使う感覚は、将棋の手筋の覚え方でも触れています。攻めが切れやすい人は、大きな駒を動かす前に「歩で相手の形を乱せないか」を探すとよいでしょう。
原因3 王手だけを続けている
王手は分かりやすい攻めですが、王手を続けるだけでは勝てません。相手玉が安全な場所へ逃げ、こちらの攻め駒が減ってしまう王手は、むしろ攻めを切らす原因になります。
終盤で重要なのは、王手よりも詰みや詰めろです。王手で相手を動かすだけでなく、次に詰みがある形、守り駒をはがせる形、逃げ道を狭める形を作る必要があります。
王手をかける前には、「この王手のあと、相手玉はどこへ逃げるか」「逃げられたあとも次の攻めがあるか」を確認しましょう。終盤の考え方は将棋の終盤の考え方でも整理しています。
原因4 相手の受けを見ていない
攻めが切れるときは、自分の攻めだけを見て、相手の一番強い受けを見落としていることがあります。こちらが厳しいと思った手でも、相手に受けられると急に続かなくなることがあります。
攻める前に、相手が金を打つ、玉を逃げる、攻め駒を取る、合駒をする、といった受けを一つだけでよいので考えましょう。相手の受けを読んだうえで攻めが残るなら、その攻めは実戦で使いやすくなります。
相手の次の一手を見る習慣は、将棋で相手の狙いを読むには?にもつながります。攻めるときほど、相手の一番嫌な受けを先に確認することが大切です。
原因5 自玉が危なくて攻め合えない
攻めが続きそうに見えても、自玉が危ないと攻め合いに負けます。攻め駒を渡した瞬間に自玉へ詰めろがかかるなら、攻めを続けるより受けが必要なことがあります。
特に金や銀を渡す攻め、飛車角を切る攻め、桂馬を渡す攻めは注意が必要です。相手に渡した駒で自玉が急に詰むことがあるからです。
攻め合う前には、自玉が詰めろになっていないか、相手に金銀を渡しても大丈夫かを確認しましょう。形勢判断の中でも、玉の安全は攻めを続けるか受けるかを決める大きな材料になります。
攻めを切らさないためのチェックリスト
攻める前にすべてを深く読むのは難しいので、まずは次の5つを順番に確認すると分かりやすくなります。
- 攻め駒は2枚以上あるか。
- 歩や持ち駒で攻めを補えるか。
- 相手玉の逃げ道を狭められるか。
- 相手の一番強い受けを考えたか。
- 攻めたあと自玉が急に危なくならないか。
この5つのうち、2つ以上が不安なら、すぐ攻め込むより駒をためる、守りを整える、相手の攻め駒を消すといった手も候補になります。
攻めを続けるための駒のため方
攻めが切れそうな局面では、無理に突っ込むより、攻め駒を増やす手が有効です。すぐ王手をかけなくても、次に厳しい手が残るなら十分に攻めの手です。
たとえば、銀を相手玉の近くへ進める、飛車や角の利きを通す、歩を打ってと金作りを狙う、持ち駒を増やすために相手の攻め駒を取る、といった手があります。
中盤で攻め駒をどう働かせるかは、将棋の中盤の考え方が参考になります。攻めを急ぐより、次に複数の狙いが残る形を作る方が結果的に攻めが続きやすくなります。
攻めが切れたあとの立て直し方
実戦では、攻めが切れてしまうこともあります。その場合は、すぐに別の無理攻めを探すのではなく、局面を立て直すことを考えます。
まず自玉の安全を確認し、相手の反撃を受けられるかを見ます。次に、攻めに使った駒が残っているか、持ち駒があるか、相手玉にまだ嫌味が残っているかを確認します。
攻めが切れたあとは、一手受ける、駒を補充する、相手の攻め駒を取る、といった落ち着いた手が必要になることがあります。無理に勝ち切ろうとせず、もう一度形勢を見直しましょう。
1週間の攻め切れ対策メニュー
攻めを切らさない力は、実戦後の振り返りで伸ばしやすい分野です。攻めた場面だけを短く見直すだけでも、次の対局で同じ失敗を減らせます。
- 1日目 – 攻めが止まった局面を1つ選び、攻め駒の枚数を数える。
- 2日目 – 歩を使えた場所がなかったか探す。
- 3日目 – 王手をかけたあと、相手玉がどこへ逃げたか確認する。
- 4日目 – 相手の一番強い受けを一つ書き出す。
- 5日目 – 攻めたあと自玉が危なくなった場面を探す。
- 6日目 – 攻めずに駒をためる手がなかったか見る。
- 7日目 – 次の対局で「攻め駒2枚以上」を意識して指す。
勉強全体の配分を見直したい場合は、将棋勉強法は何から始める?や将棋中級者が上達しない理由も合わせて読むと、攻めの課題を練習に組み込みやすくなります。
よくある質問
攻めが切れやすい人は何から直せばよいですか?
まず攻め駒の枚数を数える習慣をつけるとよいです。攻め駒が1枚だけなら無理攻めになりやすいので、歩や銀、飛車角の利きで補強してから攻める意識を持ちましょう。
王手をかけるのは悪いことですか?
悪いことではありません。ただし、詰みや詰めろにつながらない王手を続けると、相手玉を安全な場所へ逃がしてしまうことがあります。王手のあとに次の攻めが残るかを確認しましょう。
攻めずに受けると弱気になりませんか?
必要な受けは弱気ではありません。自玉を安全にしてから攻め直せるなら、それは攻めを続けるための準備です。攻めと受けを別々に考えず、次の反撃につながるかで判断しましょう。
攻めが切れた局面はどう復習すればよいですか?
攻めが止まった一手前に戻り、攻め駒、持ち駒、相手の受け、自玉の安全を確認します。そこで別の攻め方や駒をためる手がなかったかを見ると、次に似た局面で判断しやすくなります。
あわせて読みたい関連記事
- 将棋の受け方 – 攻めが切れたあとや相手に攻められたときの守り方を整理したい人向けです。
- 将棋の手筋の覚え方 – 攻めをつなぐ歩や桂馬の手筋を実戦で思い出したい人向けです。
- 将棋の形勢判断の基本 – 攻めるか受けるかを局面全体から判断したい人向けです。
- 将棋の中盤の考え方 – 攻め駒を増やしながら中盤を進めたい人向けです。
- 将棋の終盤の考え方 – 王手ではなく詰めろや寄せにつなげたい人向けです。
- 将棋で相手の狙いを読むには? – 相手の受けや反撃を見落としやすい人向けです。
まとめ
将棋で攻めが切れる原因は、攻め駒の数不足、歩の使い不足、王手だけの攻め、相手の受けの見落とし、自玉の危険などにあります。攻める前に、次の狙いが残るか、相手が受けたあとも攻めが続くかを確認しましょう。
攻めを続けるには、勢いより準備が大切です。攻め駒を増やし、歩で相手の形を崩し、自玉の安全を確認してから踏み込むと、無理攻めを減らせます。実戦後は攻めが止まった局面だけを振り返り、次に使える形を一つずつ増やしていきましょう。

