将棋を続けていると、ある程度までは勝てるようになったのに、そこから急に伸びにくくなる時期があります。序盤の形は知っている、簡単な詰みも見える、それでも勝率が上がらない。この状態が、いわゆる「中級者の壁」です。
中級者の壁を抜けるには、勉強量をただ増やすだけでは足りません。詰将棋、定跡、棋譜並べ、実戦、AI検討をばらばらにやるのではなく、今の弱点に合わせて順番を決めることが大切です。
この記事では、将棋中級者が伸び悩む理由と、30日で勉強を立て直す具体的な方法を整理します。
将棋の中級者が伸び悩む理由
中級者が伸び悩む原因は、才能不足ではなく、勉強の焦点がぼやけていることが多いです。
よくある状態は次の通りです。
- 序盤は何となく指せるが、定跡を外れると方針が分からない
- 中盤で駒得しても、その後の攻め方が分からない
- 優勢な将棋を終盤で逆転される
- 詰将棋は解いているのに実戦で詰みが見えない
- 対局数は多いのに、同じ負け方を繰り返す
- AI検討を見ても、何を直せばよいか分からない
中級者は、初心者のころより知識が増えています。そのため、足りないものも一つではありません。だからこそ、まずは自分がどこで負けているのかを分けて考える必要があります。
まず弱点を4つに分ける
将棋の勉強は、弱点を分けるだけでかなり整理しやすくなります。中級者は、次の4つのどこで失点しているかを見ます。
| 弱点 | よくある負け方 | 優先する勉強 |
|---|---|---|
| 序盤 | 毎回作戦負けになる | 定跡の考え方、戦法の基本方針 |
| 中盤 | 攻めるべきか守るべきか迷う | 手筋、駒の働き、形勢判断 |
| 終盤 | 勝勢から逆転される | 詰将棋、寄せ、受けの読み |
| 振り返り | 対局後に何が悪かったか分からない | 棋譜の見直し、AI検討、負け方メモ |
全部を同時に直そうとすると続きません。最初の30日は、最も負けにつながっている一つを選ぶのが現実的です。
中級者向けの30日上達ロードマップ
ここでは、毎日長時間勉強できない人でも続けやすい形にします。目安は1日20分から40分です。
1週目: 負け方を記録する
最初の1週間は、いきなり勉強量を増やすより、自分の負け方を集めます。対局後に、次のどれで負けたかだけ記録します。
- 序盤で悪くした
- 中盤で方針を間違えた
- 終盤で読み負けた
- 時間を使いすぎた
- 同じ戦法で毎回困った
細かい棋譜分析は後で構いません。まずは、自分がどの局面で崩れやすいかを見えるようにします。
2週目: 終盤を毎日少しだけ鍛える
中級者が最も効果を感じやすいのは終盤です。優勢な将棋を勝ち切れるようになるだけで、勝率は変わります。
詰将棋は、難しすぎる問題を長時間考えるより、3手詰から5手詰を毎日解くほうが続きやすいです。解けなかった問題は、答えを見て終わりにせず、翌日にもう一度解き直します。
3週目: 定跡を「手順」ではなく「理由」で覚える
定跡は暗記だけだと、少し形が外れた瞬間に使えなくなります。中級者が見るべきなのは、手順そのものよりも、なぜその手を指すのかです。
例えば、飛車先を突く理由、玉を囲うタイミング、急戦を受ける形、攻めの銀をどこへ出すかなど、方針が分かると応用しやすくなります。
4週目: 実戦と振り返りをセットにする
上達しない人ほど、対局だけが増えて振り返りが足りません。逆に、振り返りだけで実戦が少なすぎても、実戦感覚が鈍ります。
おすすめは、1局指したら1つだけ反省点を書くことです。すべての悪手を調べる必要はありません。「終盤で詰みを逃した」「角交換後の方針が分からなかった」「時間を使いすぎた」など、次の勉強につながる一文が残れば十分です。
将棋の三大上達法はどう使い分ける?
将棋の上達法としてよく挙がるのは、詰将棋、棋譜並べ、実戦です。ただし、中級者はこの3つを同じ量でやるより、目的を分けたほうが続きます。
| 勉強法 | 伸びやすい力 | 中級者の使い方 |
|---|---|---|
| 詰将棋 | 読み、終盤力、勝ち切る力 | 短手数を毎日少しずつ解く |
| 棋譜並べ | 大局観、手の流れ、戦法理解 | 一局全部ではなく、気になる戦型だけでもよい |
| 実戦 | 時間配分、判断力、経験値 | 対局後に負け方を一つだけ記録する |
勉強法を増やすより、続けられる量に落とすことが大切です。1日20分でも、詰将棋、実戦、振り返りがつながれば、ただ対局数を増やすより効果が出やすくなります。
上達しない人がやりがちな勉強
中級者の勉強で避けたいのは、やっていること自体は正しいのに、目的がずれている状態です。努力しているのに伸びないときは、次のようなパターンになっていないか確認します。
難しい詰将棋ばかり解く
難しい問題に挑むことは悪くありません。ただ、実戦で一手詰めや三手詰めを逃している段階で、長手数の問題ばかり解くと効果が出にくくなります。中級者は、まず実戦で出やすい短い詰みを確実に読むほうが勝ちにつながります。
定跡を丸暗記する
定跡の手順を覚えるだけだと、相手が少し違う手を指したときに困ります。覚えるべきなのは、駒組みの目的、攻める筋、守る場所、形が崩れたときの考え方です。手順を覚えたら、なぜその手が必要なのかを一つだけ説明できるようにしましょう。
AIの最善手だけを追う
AIの最善手は強力ですが、人間が実戦で再現できない手もあります。中級者が見るべきなのは、評価値が大きく動いた局面です。そこで自分が何を見落としたのかを確認するほうが、次の対局に活きます。
対局数だけを増やす
実戦は大切ですが、振り返りなしで対局を重ねると、同じ癖が残ります。負けた将棋をすべて細かく調べる必要はありません。ただし、負けた理由を一行で残すだけでも、次の勉強テーマが見えやすくなります。
忙しい人向けの週間メニュー
毎日まとまった時間が取れない場合は、勉強を小さく分けます。中級者は、長時間の勉強をたまにやるより、短くても同じ型を繰り返すほうが安定します。
| 曜日 | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 月・水・金 | 3手詰から5手詰を解く | 10分から15分 |
| 火 | よく指す戦法の定跡を1テーマだけ確認 | 20分 |
| 木 | 棋譜並べまたは解説付き棋譜を1局見る | 20分 |
| 土 | 実戦を指す | 1局から2局 |
| 日 | 負け方を整理し、翌週のテーマを一つ決める | 15分 |
このメニューの目的は、全部を完璧にこなすことではありません。詰将棋だけの日、対局だけの日があっても構いません。大切なのは、終盤、序盤、実戦、振り返りのどれかに偏りすぎないことです。
どれくらいで上達を感じる?
将棋の上達は、数日で急に勝率が変わるものではありません。最初に変わるのは、勝ち負けよりも「なぜ負けたかが分かる感覚」です。
30日続けると、終盤の見落とし、序盤で困る形、時間の使い方など、自分の弱点が見えやすくなります。そこから同じテーマをもう1か月続けると、少しずつ実戦の判断が安定してきます。
短期間で一気に強くなろうとするより、負け方を一つずつ減らすほうが現実的です。中級者の壁は、急に飛び越えるものではなく、同じミスを減らしながら薄くしていくものだと考えると続けやすくなります。
AIや将棋アプリはどう使う?
AIや将棋アプリは便利ですが、評価値を眺めるだけでは上達につながりにくいです。中級者は、AIの最善手を暗記するより、「自分がなぜその手を選べなかったのか」を見るほうが大切です。
おすすめの使い方は、負けた将棋で分岐点を一つだけ探すことです。序盤の作戦負けなのか、中盤の方針ミスなのか、終盤の読み抜けなのかを確認します。毎局すべてを分析しようとすると続かないため、まずは一局一テーマに絞ります。
勉強道具は弱点に合わせて選ぶ
将棋の本や教材はたくさんありますが、何となく買い足すと積み上がりません。今の弱点に合わせて選ぶと、勉強の意味がはっきりします。
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まとめ
将棋の中級者が伸び悩むときは、勉強量よりも勉強の焦点を見直すことが大切です。序盤、中盤、終盤、振り返りのどこで負けているかを分け、最も勝敗に影響している弱点から直しましょう。
まずは30日間、負け方の記録、短手数の詰将棋、定跡の理由理解、対局後の振り返りを続けてみてください。対局数だけを増やすより、毎回一つでも課題を持ち帰るほうが、次の一局に残る勉強になります。

